%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FPhmWvxj7NpE%3Fsi%3D5EAlmJOM_g4W0LK6%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3Eなぜ、山ではチェーン店が閉店するのか?先日、休日の朝、ふと思い立って車で山道を走っていました。緑が濃くなる季節、窓を少し開けて、風の匂いを感じながら。そんな中、ある光景にふと目が止まりました。道沿いに並ぶ、かつては賑わっていたであろう有名チェーン店の建物たち。今は看板の色も褪せ、「貸物件」の文字や、運送会社の営業所の看板に変わっています。中には、無人のまま時間が止まったような空き店舗もちらほら。「なぜここでは、チェーン店が残らなかったんだろう?」そんな疑問が頭をよぎりました。交通の便が悪いわけでもない。人が全くいないわけでもない。けれど、チェーンの看板だけが静かに消えている——。その後、近くの小さな集落に立ち寄った際、地元の方にいくつか話を聞いてみることにしました。意外なほど、皆さん気さくに教えてくれます。話を重ねるうちに見えてきたのは、地方の商いにおける「プリファレンス(好意度)」という力の存在でした。今回は、その学びを少しまとめてみたいと思います。地元の声から見えてきたものその後、ふと見つけた小さな直売所に立ち寄ってみました。地元の野菜や手作りのお惣菜が並ぶ、あたたかい空気の漂う場所。お店番をしていた女性に、何気なく「昔、このあたりにチェーン店がありましたよね?」と声をかけてみたところ——気づけば、まわりにいたお客さんやスタッフの方々が次々と会話に加わってきました。「懐かしいねぇ」「そうそう、あったねぇ」と、ちょっとした井戸端会議のような雰囲気に。その中で、こんな声が印象に残りました。「地元のお店だから応援したいんです」「チェーン店も悪くないけど、昔からのお店のほうが安心する」「○○さんのお店だから行く、って感じかな」ああ、ここにはお店との関係性や人とのつながりが、暮らしの一部として根づいているんだ。単なる認知度や利便性だけではなく、「どっちが好きか」という気持ちが、選択の大きな理由になっている。そんなことを、改めて強く感じた瞬間でした。プリファレンスが先にある商圏構造では、なぜ地方ではチェーン店が必ずしも勝てないのか。その背景にあるのが、プリファレンスという考え方です。プリファレンス(preference)とは、簡単に言えば 「比べたときの好意度」のこと。何かを選ぶときに、「どちらが好きか」という気持ちの差が、最終的な選択に大きな影響を与えます。たとえば、こんな場面を思い浮かべてみてください。家族で暮らす地方の町で、「お腹がすいたから、今日は外で食べよう」となったとき。Google マップで検索すれば、チェーン店や新しいおしゃれなお店も見つかります。でも結局、「あそこにしようか」と選ばれるのは——昔から通っている家族経営の食堂だったり地元の知り合いがやっているカフェだったりいつも行っている近所のお店だったりつまり、「なんとなく好き」「安心する」「応援したい」という気持ちが、行動の最初のフィルターになっているのです。私たち air では、地方の商圏では次のような順番でお店が選ばれる傾向があると考えています。1️⃣ まず、そのお店が「好き」かどうか?(プリファレンス)「このお店が好き」「ここに行きたい」と思ってもらえるかどうかが最初の壁。知名度や立地よりも、この感情が先に来ることが多いのです。2️⃣ そのお店が知られているか?(認知)好きになってもらう以前に、まずは知ってもらうことが必要。口コミや地域のつながりが大きな役割を果たします。3️⃣ 利用できる距離・利用しやすさ(利便性)好きでも、物理的に行けなかったり、使い勝手が悪ければ選ばれにくい。ただし、プリファレンスが強ければ多少の不便は乗り越えて来てもらえる場合も多々あります。4️⃣ サービスの質や期待との一致(体験価値)もちろん、実際に利用した際の体験価値も重要。けれど、地方ではここまで至る前に「好きかどうか」の段階でかなりふるいにかけられている、というのが現実です。認知 → プリファレンスの場合の落とし穴「まずは知ってもらわなければ」「認知の方が重要では?」確かに、認知はとても大切な要素です。ですが、地方においては、「知っている=行きたい・使いたい」にはなりません。知られていても、「好きでなければ選ばれない」のです。利用してもらうには、好きになってもらう事が重要になります。つまり、認知よりも先に「好意度(プリファレンス)」が獲得できるか、どうかがカギになると考えています。知られているのに選ばれない場合、そこには「まだ好かれていない」という課題が潜んでいることが多いのです。どうやってプリファレンスを知るのか?実は、プリファレンスは意外とシンプルな質問で確認することができます。たとえば、新しく何かサービスやお店を企画する段階で、こう聞いてみるだけでも大きなヒントになります。「こんなサービス(商品)をやろうと思っているのですが、利用したいと思いますか?」この一問で、「知っているけれど利用したいと思うかどうか」=好意度の有無が見えてきます。もし「知っているけど使わない」「あまり興味がわかない」という声が多ければ、まず「好きになってもらう」ための工夫が必要だということ。逆に、「行ってみたい」「ぜひ使いたい」という声が多ければ、認知を広げる施策が効果を発揮しやすい段階にあると言えるでしょう。プリファレンスが低い状態で、認知だけを一生懸命広げても効果は薄く、広告費ばかりがかさんでしまう。それを防ぐためにも、「先に好かれているかどうか」を見極めることは、とても重要なステップなのです。地方と都市の違い都市部では、認知 → 利便性 → 比較 → 最適な選択 という流れで選ばれるケースが多くなります。有名なチェーン店や利便性の高い店舗が優位に立ちやすい。生活圏が広く、個人のお店に「応援したい」という意識が薄まりやすい。つまり、生活の場所によって好かれるポイントが違うと考えています。都市の場合は、便利に価値観を持って住んでる人が多いからかも知れません。「好きかどうか」という心理的なフィルターをクリアできなければ、たとえ便利で安くても選ばれないことが珍しくないのです。チェーン店が閉店し、個人店が選ばれた理由—— ヒアリングから見えてきた「好かれるお店」の特徴地元の直売所で話を聞いていく中で、チェーン店が閉店し、個人店が選ばれている理由が少しずつ見えてきました。最初は感覚的な話だったものが、話を整理していくと3つの共通した特徴が浮かび上がってきたのです。ポイント①:地元に根ざした「応援文化」「やっぱり地元のお店は大事にしたいよね」「○○さんの店、頑張ってるから行かんといけん」そんな声が何度も出てきました。地方では、お店は単なる「買い物の場所」以上の意味を持っています。地元の仲間を応援する気持ちが自然に商いに反映されているのです。この「応援文化」があるため、チェーン店よりも「顔の見えるお店」が選ばれる場面がとても多く見られます。ポイント②:生活文化との「親和性」「チェーン店って早いし便利なんだけど、なんか落ち着かんのよね」「いつものお店は気が楽やし、ゆっくりできるけん」こんな声も印象的でした。地方の暮らし方やリズムは、都市部とは違うもの。全国一律のサービスがその土地の「生活の肌感覚」と合わない場合も多いのです。「ここに行くと安心する」「気心が知れている」という感覚は、地方においては利便性以上に大きな価値として捉えられていると感じました。ポイント③:口コミや人間関係の力「○○さんのとこ、行った? あそこはいいよ」「△△さんがやりよるお店やけん安心やね」地方では、誰がやっているかという情報が非常に大きな意味を持ちます。広告よりも、人からの口コミや関係性が消費行動を強く左右しているのです。「知っている人のお店だから行く」「顔の見える相手から買う」こうした関係性の濃さが、チェーン店には作りづらい大きな差別化ポイントになっているとも言えます。こうして見ると、単に商品や価格の問題ではなく、「暮らしの中にどう根づいているか」が地方で選ばれるお店の鍵になっているのだと改めて感じました。地方でお店づくりをする時に必要な視点とは?地方の場合、どうしても人口が少ないという避けられない課題があります。つまり、日常的に利用してくれるお客様の絶対数が少ない。この状況では、地元の常連さんだけに頼るのではなく、「その場所を通る人」「目的を持って訪れる人」にも選ばれる工夫が必要になります。考えてみればこれは、昔の「茶屋」のようなモデルに近いのかもしれません。江戸時代の街道沿いには、多くの茶屋がありました。常連の村人も利用していたでしょうが、主なターゲットは街道を行き交う旅人です。疲れたときに一息つけるちょっとした名物を楽しめるその土地らしい空気を味わえる「通りすがりの需要」と「土地の文化」を掛け合わせたこの形は、現代の地方商圏にもヒントを与えてくれます。では、私たち air は、そんな環境でお店づくりを考える時、どんな視点を大切にしているのか。次の3つの視点をご紹介します。1️⃣ 商圏エリアの方々の文化、課題の理解まずは日常的に利用してくれるお客様の理解が欠かせません。この地域の暮らし方は?どんなときにお店を利用するのか?買い物や外食のリズムはどうなっている?たとえば、ある地方のカフェでは平日昼間は地域の高齢者の交流の場になっており、休日は観光で訪れる人向けにメニューや雰囲気を変えているという工夫をしていました。まずは地元の方の暮らしに寄り添うことが、強いプリファレンスを生む土台になります。2️⃣ 店舗を利用してくれる「通る人」「目的の人」の理解次に、その場所を通る人、目的に来る人の理解も重要です。どんな人がどんな理由でこのエリアを訪れるのか?旅の途中か?レジャー目的か?ビジネスか?そのとき、どんなことに困り、何を求めているのか?たとえば、登山口近くの直売所では、地元の野菜だけでなく、登山客向けの手軽な軽食や飲み物を販売して収益を支えていました。「通る人」への理解があれば、単なる地元密着型にとどまらず、より広い客層に選ばれるお店になれるのです。3️⃣ 生活文化との親和性そして最後に大切なのが、地域の生活文化との親和性を意識すること。お店にまつわる歴史やエピソード地域の季節行事や暮らしとのつながり訪れる前に知ってもらう工夫(SNSやHPでの情報発信など)たとえば、ある温泉地の和菓子店では、創業時の物語や昔の店主の写真をHPや店頭に掲示していました。それを見た観光客が「このお店に行ってみたい」と事前に情報を得て、訪れるきっかけになっていたのです。歴史やストーリーを伝えることで、「土地らしさ」と「安心感」が育まれ、プリファレンスの形成につながります。好意度に自信が持てたら、次は「認知」を広げていこうプリファレンス(好意度)に手応えを感じたら、次は「知ってもらう」段階へ進みます。ただし、地方の山手のような場所では、運営する人の人材には限りがあります。一気に全方位で攻めようとすると、途中で力尽きてしまうことも。そこで、時期を区切って段階的に広げていくことをおすすめしています。認知を獲得するには、どうしたらいい?どんな層に届けたいのか によって、使う媒体の優先順位も変わってきます。以下のように役割を整理して組み立てていくと無理がありません。ステップ1:SNS・Googleマップ・ホームページ対象:若者・観光客観光目的やちょっとしたドライブの途中に立ち寄ってもらいたい場合、まずはここから。SNS(Instagram・Xなど)で地域の外の人にも届く写真・ストーリー発信を。Google マップの情報・口コミ整備は必須。観光客は地図アプリ経由の来店が非常に多いです。ホームページは安心感・来店前の下調べ用として機能します。ステップ2: 口コミ・新聞・チラシ対象:商圏エリアの住人地元民には口コミが圧倒的な影響力を持ちます。新聞の地域面は、年配層や地域企業の方にとっては今でも大きな情報源です。手渡しのチラシは、高齢者やインターネットに馴染みの薄い層にしっかり届きます。直売所などの人が集まるところも効果的です。ステップ3: 地域テレビ対象:商圏エリアの住人地元テレビ局の地域ニュースや特集は信頼性が高く、幅広い層への認知効果があります。「最近テレビでやってたね」から来店につながるケースも多い。ステップ4: 地域イベント・マルシェ対象:商圏エリアの住人マルシェやイベントは接触体験そのものがプリファレンス形成に直結します。「あそこで食べたあの商品、また買いたい」「顔が見えて安心」という効果が大きい。特に新しいお客様との接点作りにとても有効です。まとめ地方の商圏は、ただ便利な店を作るだけでは選ばれません。地元の暮らしに寄り添うこと通る人・訪れる人を理解することその土地の文化や物語を大切にすることまるで昔の「茶屋」のように、そこに立ち寄る価値そのものを丁寧に作っていくことが、地方で選ばれるお店づくりの鍵になるのです。