執筆者 | クロモリ ユウキ
マーケター | air Inc.代表
シラベルの開発者であり、air Inc.を運営しています。少ない費用で大きな成果を上げるマーケティングの研究と支援を提供しています。
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口コミは、GoogleビジネスプロフィールのMEO対策において非常に重要な要素です。適切な口コミは、顧客の信頼を高め、選ばれる確率を向上させます。しかし、単に高評価の口コミを大量に集めるだけでランキングが上がるわけではありません。
この記事では、口コミの価値と、自然で信頼性の高い口コミを獲得するための方法について詳しく解説します。より多くの顧客に信頼されるための具体的なステップを学びましょう。
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Googleビジネスプロフィールの口コミの重要性とその役割
口コミは、オンラインでのビジネス評価を決定づける重要な要素です。特にGoogleビジネスプロフィールでの口コミは、新規顧客に信頼を与えるだけでなく、ビジネスの選ばれる確率を大きく左右します。
この章では、口コミがどのように顧客の判断に影響を与えるか、そして高年収世帯が口コミをどのように活用しているかを詳しく説明します。
口コミは、単にビジネスの評判を伝えるだけでなく、他の顧客に対する「社会的証明」として機能します。口コミが多く、評価が高いビジネスは信頼性が高いと認識され、選ばれる可能性が大幅に高まります。
- 社会的証明の効果: 人々は他の顧客の意見に基づいて判断する傾向があります。ポジティブな口コミが多いビジネスは、他の潜在顧客にも良い印象を与え、選択肢に入る可能性が高まります。
- 実際の影響: 口コミの内容が具体的であればあるほど、顧客はその体験をイメージしやすくなり、購買意欲を高めます。特に初めて利用する顧客にとって、他の顧客の経験は決定的な要素です。
高年収の世帯ほど、口コミの内容に対して敏感であり、購買行動に大きな影響を受ける傾向があります。彼らは商品やサービスに対してより高い期待を持っているため、他の顧客の意見を慎重に確認し、自分に合った選択を行います。
口コミの内容を気にする人の割合
- 世帯年収500万円以下:59%
- 世帯年収501万円〜1000万以下:63.9%
- 世帯年収1000万円以上:77.3%
つまり、年収が高まるにつれて「実際の体験レビュー」を重要視している傾向がある事がわかります。
- 口コミ内容の精査: 高年収の世帯は、ポジティブな口コミだけでなく、具体的な利点や欠点について書かれている口コミを重視します。彼らは、価格だけでなく価値に見合ったサービスや商品を求めているため、口コミを重要な情報源として捉えています。
- 口コミが与える安心感: 高額な商品やサービスを購入する際、他の顧客が満足しているという情報は大きな安心材料となります。これは、特にブランドや高級商品において顕著です。
高評価の口コミがMEOランキングに与える影響の神話
MEO(マップ検索エンジン最適化)対策で、高評価の口コミを集めれば必ず上位表示されるという誤解がありますが、実際にはそれだけでランキングが上がるわけではありません。GoogleのMEOランキングは、口コミ以外にもさまざまな要因が関係しており、正しい理解が必要です。
ここでは、その神話と実際のランキング要因、さらに規約違反について説明します。
多くの人が、「高評価の口コミをたくさん集めればMEOランキングで必ず上位表示される」と思いがちですが、それは誤りです。口コミはランキング要因の一つに過ぎず、他にも重要な要因が存在します。
- 他の要因: ビジネスの地理的な位置、関連する検索クエリへの一致、店舗の営業時間やWebサイトの品質なども、MEOランキングに大きな影響を与えます。
地方エリアだけでなく、都心エリアであっても、「高評価 × 口コミ数」という訳ではありません。
検索した人との関連性が評価されています。
順位 | 評価 | 口コミ数 | 写真数 | 1件あたりの写真投稿 |
1 | 4.8 | 40 | 536 | 13.4 |
2 | 4.3 | 121 | 683 | 5.6 |
3 | 4.1 | 279 | 700 | 2.5 |
4 | 4.3 | 94 | 105 | 1.1 |
5 | 4.5 | 50 | 487 | 9.7 |
6 | 4.7 | 173 | 210 | 1.2 |
7 | 4.3 | 538 | 1501 | 2.7 |
8 | 4.5 | 440 | 1523 | 3.4 |
9 | 4.3 | 107 | 254 | 2.3 |
10 | 4.4 | 64 | 120 | 1.8 |
20 | 4.1 | 775 | 1496 | 1.9 |
MEOランキングには多くの要因が関わっており、口コミはその中の一つですが、全体の一部に過ぎません。実際、口コミはMEOのランキング要因の「約10%」にすぎず、他の要因とバランスを取る必要があります。
- 口コミの数と質: 口コミの数や内容が重要ですが、時間をかけて継続的に良いレビューが集まることが評価されます。一度に大量のレビューが集まることはあまり効果的ではありません。
私たちが運用を行った、こちらの店舗ですが「県エリア × 業種」で上位を獲得しているお店です。
こちらの店舗の口コミは競合店と比べると60%以上少ないですが、上位を獲得する事ができています。
私たちが相談を受ける中で、「表示されなくなった」との問い合わせがある場合、原因の多くは特典やプレゼントと引き換えにレビューを集めたことが原因です。競合店の真似をしたという話もよく聞きますが、このような施策はGoogleの規約に違反しており、ランキングに悪影響を与える可能性があります。
異常なレビュー数と短期間での急増
具体的には、周辺店舗のレビュー数と比較して圧倒的に多い(例:5倍以上)、短期間(3ヶ月程度)で100件以上のレビューが増加した場合、Googleはそのレビューが正当なものかどうかを精査していると考えられます。実際に、レビューを自然に集めるのは非常に難しく、こうした急激な増加は異常なケースと見なされます。
Googleによる違反の検出
Googleは、こうした異常値をもとに、口コミが不正に操作されていないか確認していると考えられます。特典を伴うレビューは、短期間で大量の投稿が集まり、施策終了後には獲得数が急激に減少するため、Googleはこれを不自然な動きと見なす可能性が高いです。また、ユーザーからの通報もあり、違反行為が確認されるとペナルティを受けるリスクがあります。
規約違反によるペナルティ
Googleの規約では、プレゼントや金銭的な見返りを提供してレビューを促す行為は禁じられています。このような行為が確認されると、検索結果に表示されなくなるペナルティを受ける可能性があります。こうしたリスクを避けるためにも、純粋な口コミを得ることが重要です。
Googleのガイドライン:虚偽のコンテンツ、偽装行為
Yahoo!ニュース:ステマ規制で初摘発Googleマップの“やらせレビュー”
口コミ獲得のための最適なアプローチ
口コミは、信頼性を高め、ビジネスの成長を促進するために欠かせません。純粋な口コミを集めることは簡単ではありませんが、正しいアプローチを取ることで、自然に顧客からのフィードバックを得ることができます。
以下に、純粋な口コミの価値や、口コミを書いてもらうための具体的な方法を説明します。
純粋な口コミとは、顧客が自らの体験をもとに、意図的な促しや報酬なしで自然に書いたレビューを指します。このタイプの口コミは、他の潜在顧客に対して強力な社会的証明を提供し、ビジネスの信頼性を大きく高めます。
- 信頼性の向上: 自然に集まった口コミは、他の顧客に「このお店は本当に良いサービスを提供している」という印象を与えます。特に、ポジティブな体験を共有する口コミが増えるほど、ビジネス全体の信頼性が高まります。
- 長期的な関係の構築: 無理に高評価を集めることは短期的には効果があるように見えるかもしれませんが、長期的な信頼関係を築くには純粋な口コミが不可欠です。顧客が自然に体験をシェアすることで、ビジネスの評判が持続的に良好な状態を保ちます。
- 口コミの影響力の拡大: 自然な口コミは、他の潜在顧客の購買意欲を引き出しやすく、口コミを読んだ人々の信頼を得やすくなります。これにより、顧客が口コミを見て来店する確率が高まります。
顧客に自発的に口コミを書いてもらうには、良いサービスを提供するだけでなく、顧客が口コミを書きたくなる状況を作り出す必要があります。具体的には、顧客の体験がポジティブで、記憶に残るものだった場合、自然に口コミを書きたくなります。
もちろん、最悪の体験をした場合でも書かれることがあります。
私たちが、MEO対策を支援している中で「自然と発生している口コミ」を3000件以上分析したところ以下のシーンにおいて、口コミが書かれていることが分かりました。
口コミを書く気になる状況(トリガー)
- サービスが非常に良かった時:満足感を持った顧客は、感謝の気持ちから口コミを残すことが多いです。
- サービスに不満があった時:反対に、ネガティブな体験をした顧客は、その不満を共有したくなることがあります。
- お店のスタッフとの良好なコミュニケーション:スタッフとの親しみやすいやり取りがあれば、顧客は口コミを通じてその体験をシェアしたくなります。
お店の口コミを「書いてくれる」か「伝えるのか」はお客様の「性格」次第です。
口コミを書いてもらうために、お店側ができることは、「書く気になる環境」を整えることです。
例えば、有料ツールを使うことで、口コミを書くプロセスをサポートすることも可能ですが、それはあくまで顧客が「口コミを書こう」と決めるときにに有効です。
口コミを書いてもらうための施策
- 口コミを求めるタイミング:サービスを提供した後、感謝の気持ちを伝えた上で、「よろしければご意見をいただけると嬉しいです」と、さりげなくお願いするのが効果的です。
- 簡単なレビュー投稿のプロセス:口コミを投稿するリンクやQRコードを使って、投稿をスムーズに行えるようにしましょう。顧客が手間を感じずにレビューを残せる環境を整えることが重要です。
うまく口コミを獲得するには「方法」と「設計」があります。
- サービス提供「後」にレビューの時間を設ける(帰るまでの間)
サービス提供が終わった直後にレビューをお願いすることで、顧客がまだ鮮明に体験を覚えているうちにフィードバックを得ることができます。 - 顧客に来店の感謝を伝える
まずは顧客に感謝の気持ちをしっかり伝えることで、心のこもったコミュニケーションが生まれ、顧客もレビューを書くモチベーションが高まります。 - レビューが欲しいことを口頭で伝える
口コミが重要であることを直接顧客に伝えることが効果的です。口コミがサービス提供の改善に繋がることを理解してもらうと、協力してくれる可能性が高まります。 - QRコードでストレスを減らす
レビューを簡単に書けるよう、QRコードを使ってスマホから直接アクセスできる仕組みを提供することで、顧客の負担を減らし、投稿のハードルを下げます。
口コミ獲得がうまくいかない店舗には、顧客にいきなり依頼をすることで失敗し、精神的なダメージを蓄積してしまうケースがあります。
この原因は、口コミを求める際の設計が急ぎすぎているため、成功確率が低い状態に陥っていることにあります。しっかりとした準備や段階的なコミュニケーションを通じて、顧客が自然にフィードバックをしたくなる状況を作ることが重要です。
顧客からの口コミをもらうことは、実はお店だけでなく「スタッフ」にとって非常にプレッシャーがかかるイベントです。そのため、スタッフによっては、決められた接客設計に従うのが難しい場合があります。
例えば、「必ず声掛けをする」と指示しても、それに従えないスタッフがいることは珍しくありません。特に消極的なスタッフを無理に「クチコミ獲得の営業マン」に変えることは困難です。
私たちが「店舗のスタッフ」にヒアリングの調査を行った際に以下の項目にストレスを感じる傾向が強いことが分かりました。
- 顧客からの評価が直接的にフィードバックされるため、対応が正しく評価されるか不安を感じる。
- ネガティブな反応を受けるリスクがあり、気まずさやストレスが生じる可能性がある。
- コミュニケーションスキルに自信がないスタッフには、声掛けが心理的負担になる。
- 目標達成のプレッシャー:設定されたノルマやインセンティブに対応できるか不安がある。
- ネットに晒される怖さ:自分の個人情報が載せられないか不安(名前が珍しかったり、特定されないかの不安)
そこで、口コミを獲得するためには、スタッフに対してインセンティブや特典を導入するなどの柔軟な取り組みが必要だと考えられます。これにより、スタッフが積極的に口コミ獲得に取り組みやすくなります。
口コミ獲得が苦手な店舗は、まず他の方法に注力することが大切です。口コミがMEOランキングに与える影響は約10%程度ですが、来店数が多ければ自然と口コミも増える可能性があります。
そのため、新規顧客の来店数を増やすことに集中しましょう。質の高い接客を提供することで、顧客が自然に口コミを書きたくなる環境を作ることができます。結果的に、口コミの数も徐々に増加するはずです。
- 新規顧客の来店数を増やす
口コミは新規顧客の来店が増えると自然に集まります。まずはMEOや広告などの施策で来店数を増やすことに注力しましょう。 - 質の高い接客を提供
顧客がサービスに満足し、良い体験をすることで、口コミを投稿したいと感じる確率が高まります。良好な接客が口コミのトリガーとなることを意識しましょう。 - トリガーを提供する
口コミを書いてもらうには、顧客に「口コミを書きたい」と思わせるきっかけが必要です。笑顔でのお礼や丁寧な対応が顧客にとっての動機付けになります。
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